こころの痛み ~ 自分で心を手当する方法 ~

ガイ・ウィンチ著

目次

  1. 『自分で心を手当する方法』ってどんな本?
  2. 7つの傷とは何か?
  3. どうやって手当するの?
  4. さいごに

私たちは、上手くできない時、仲間に入れない時、恥をかいたと感じた時などに、『失敗した』と心が痛むことがあります。しかし、それは本当に失敗なのでしょうか? 自分の頭の中で自分を否定して、自分を嫌いになって、自信が無くなって、失敗と感じているだけでは無いでしょうか?
発明王トーマス・エジソンは『 私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ 』という言葉を残しています。そうです、たとえ心が痛んでも、挑戦しただけ、勇気を出しただけ、頑張ったんだ!・・・自分を誇ればいいのです。

とはいえ人は弱いものです。弱いのが当たり前です。だから心が痛んだときの対処方法が必要なのです。そんな時はNYのセラピスト ガイ・ウィンチさんの著書『自分で心を手当する方法』を参考にしてみてはどうでしょうか?私自身の考えも交えながら簡単に内容を説明します。

1、『自分で心を手当する方法』ってどんな本?

体の傷は消毒したり病院に行ったりしてすぐに手当をするのに、心が傷ついたときは「これくらいなんてことないよ」「ちょっと落ち込んだだけかな」と軽くあつかわれたまま放置されてしまいます。本当は苦しいはずなのに、ほとんどの人が傷が悪化するまで何の対処もしないのです
この本では7つの心の傷をとりあげ、傷を感じたときに対処する方法を紹介しています。少しでも心の痛みを感じたら、この本を読んで手当してみてはいかがでしょうか?

また、自分が傷ついていると自覚することも大切です。『不安になる』『自分を責める』『人を避けるようになる』『自分らしくなくなる』そんなときは、無理せず自分を大切にしてください。

2、7つの傷とは何か?

  1. 「自分を受け入れてもらえなかったとき」――失恋、いじめ、拒絶体験
  2. 「誰ともつながっていないと感じるとき」――孤独
  3. 「大切なものを失ったとき」――喪失、トラウマ
  4. 「自分が許せなくなったとき」――罪悪感
  5. 「悩みが頭から離れないとき」――とらわれ、抑うつ的反芻
  6. 「何もうまくいかないとき」――失敗、挫折
  7. 「自分が嫌いになったとき」――自信のなさ、自己肯定感の低下

3、どうやって手当するの?

この本では、それぞれの傷ごとに手当の仕方が紹介されています。そのうちの2つを紹介します。

1、自分にやさしい言葉をかける

自己肯定感が低い人は自分に対して、自分の失敗や欠点をクドクドと批判して、自分をコテンパンに痛めつけてしまいます。だれよりも自分に酷い言葉を投げかけているのです。

  • 失敗したり恥をかいたりした経験を1つ思いだし、「その時何が起こったか」「それについてどう思ったか」を詳しく書いてみよう。
  • こんどはその出来事が、仲がいい友人や家族に起こったとしたら、友人や家族がどう感じるかを書いてみよう。
  • その人の心の苦痛を取り除くために、やさしく励ます手紙を書いてあげよう。
    その人が辛い経験をしたことを理解し、気持ちを受け入れ、自分を責める必要はない事をつたえてあげてください。
  • もう一度自分の経験と感じたことを書いてみよう。
    ただし、今回はなるべく客観的に、ネガティブな憶測や批判はさけて、たしかな事実だけを書いてください。
2、自分の強みを確認する

落ち込んだ人に無理やり「すごい!すごい!」とポジティブを押しつけても、かえって逆効果となってしまいます。しかし誰にでも少しくらいは良い所があるので、それを思い出しましょう。(例えば、正直である、年下の子に優しい、歌がうまいなど)

  • 紙を2枚用意し、1枚目に自分のいいところを少なくとも10個以上書きましょう。性格、特徴、やりとげたことなど何でもかまいません。
  • 良いところを考えている時に、ネガティブな考えや批判的な言葉が浮かんで来たら、2枚目の紙に書きとめよう。
  • 1枚目の紙に書いたなかから、自分がいちばん大事だと思うものをひとつ選び、なぜそれが大事なのか、自分の人生にどんな意味を持つのか、短い短文を書きましょう。
  • 次に2枚目の紙をくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てましょう。それはただのゴミなのです。
  • 翌日または数日後、1枚目のリストのなかから別の特徴を選んで、それについて短い短文を書きましょう。リストが終わる日まで続けて下さい。(もしも他の良い所を思いついたら、またリストに追加しましょう)

4、さいごに

心に傷を負ったときに一番辛い症状は『自分に出来ることは何もない』という無力感だと思います。本当は出来るのに、素敵な長所がたくさんあるのに、それに目を向けることなく傷の痛みにとらわれ、沢山のことを諦めてしまうのです。
私自身も、小さな頃から自信がなく「私ってダメだな〜」と自己否定しがちでしたが、不器用ながらも少しずつ行動することで克服しているところです。仕事や勉強じゃなくて良い、少しでも面白そうなことに挑戦してみる、やってみて「違うな」と思っても失敗でない、『挑戦したけど違ったな』と知っただけ、また他のことに挑めば良い。自分のやりたいことを、自分で考え、思考錯誤しながらチャレンジを繰りかえす。いつしか挑戦が不安ではなく「喜び」に変わっているはずです!

この本の著者ガイウィンチさんのTEDスピーチ『感情にも応急手当が必要な理由』もどうぞご覧ください!
※ 右下の歯車のマークから日本語を選ぶと字幕を見ることが出来ます。