自然の力 ~ストレスを減らし・免疫力を上げる~

 
  目 次

  1. 植物を「匂う・見る・聴く・触る」だけでもリラックス効果がある
  2. 森林には免疫の働きを良くしてくれる効果がある
  3. まとめ

自然は「匂う」「見る」「聞く」「触る」という五感それぞれに働きかけて、私たちの心とからだをリラックスさせてくれます。
さらに、ウイルスとたたかう 免疫力 まで上げてくれるというのです。
自然が身体におよぼす影響を科学的に検証しまとめた本、宮崎良史教授の『自然セラピーの化学』より、その実験結果をかんたんに紹介いたします。

1.植物を「匂う・見る・聴く・触る」だけでもリラックス効果がある

  • 匂う(嗅覚)
    柑橘類(レモンなど)などに含まれる『リモネン』や、樹木に含まれる『α-ピネン』や、『バラの香り』『オレンジ精油』『シソ精油』などの匂いをかぐ実験では、いずれも心拍数などの変化により、リラックス効果がみとめられた。
  • 見る(視覚)
    部屋の中で『匂いのないバラの生花』と『造花』を見る実験では、生花の見ている時のみリラックス効果があった。
    また、『観葉植物(ドラセナ)を見た場合』と『何も見ない場合』では、観葉植物を見た場合にストレスが軽くなったとみとめられた。
  • 聞く(聴覚)
    実験例はのせられていないが、回復効果をもたらす環境要素のうち音、特に「鳥のなき声は注目すべき」とあり、自然の音は都市の雑音に比べて、心理ストレスからの回復の速さを37%も早めてくれると記されている。
  • 触る(触覚)
    木材(ナラ、杉、ヒノキ)と金属に手で触った場合の血圧の反応をしらべると、冷やした金属は血圧が上がったままとなったが、冷やした木材では血圧が一度下がって15秒後もとにもどった。金属や、ポリウレタン塗装、人工物への触れることは、血圧の上下においてストレス状態をしめすことが明らかとなった。

2.森林には免疫の働きを良くしてくれる効果がある

  • 森林で生活する期間・効果の長さ
    2泊3日、森林で生活し散策する調査では、1日目・2日目ともにNK活性*が高まりNK細胞*の数も増えたことが確認されました。そして実験終了30日後も、実験前より高い状態がたもたれていたのです。
    日帰り森林散策においても、NK活性の上昇とNK細胞の数の増加が確認できています。
  • フィトンチッドによる実験
    空気中に『フィトンチッド*』を噴射した部屋で3泊2日宿泊する調査をおこなった結果、NK活性が高まりNK細胞の数が増え、リンパ球内にある抗がんタンパク質を増えたことが明らかとなりました。
    また、ストレスホルモンも減少し、疲労を回復する効果があることもわかりました。

用語の説明

NK細胞 : がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ攻撃するリンパ球で、ストレスによって動きが抑えらえられてしまう。人の体では常にがん細胞が生まれているが、NK細胞などががん細胞を攻撃し健康を保ってくれている。
NK活性 : NK細胞がウイルスなどを攻撃する強さ。
フィトンチッド : 樹木などから放たれる化学物質。

3、まとめ

このように、匂うだけ、見るだけ、聴くだけ、そして木材などが発生する物質だけでも 自然は心身に良い効果をもたらすという結果がみとめられました。森林ハイキングは、五感すべてから多くの恵みを受けることができるのですね。

この本の中に『人は、岩の上を流れる小川のせせらぎ、木々を抜ける風の音など、さまざまな要素が重なり合った音を好む』とありました。そして『さまざまな種類の生物が存在する風景の中では 雑音というストレスに耐える力も強くなる』との報告もあるそうです。

そうです、多くの生命が息づいている森の中にいるだけで、心とからだは癒されて行くのです。


参考図書
宮崎良史氏 著書『自然セラピーの化学』
森林浴の第一人者である千葉大学の宮崎良史教授により、自然の効果を化学的に実験・検証し執筆された著書。自然の治癒力に驚きと感謝を感じる一冊です。

参考図書
宮崎良史氏 著書『森林浴』
同じく千葉大学の宮崎良史教授により執筆された本。「自然セラピーの化学」よりも優しい文体で書かれ、美しい自然の写真も多く、読みやすい一冊となっています。


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