自然が心と身体に良い理由 ~治癒力~

  目 次

  1. 人間の遺伝子は、自然環境になじむようにできている
  2. 自然の癒しの効果 実験の結果
  3. 自然はからだを正常な状態にもどしてくれる
      

1、人間の遺伝子は、自然環境になじむようにできている

 どうして自然は、人の心とからだに元気をあたえてくれるのでしょうか?
 それは、人が地球に誕生してから700万年たちましたが、そのほとんどの期間(99.9%)を自然環境のなかで過ごしてきたので、遺伝子がゆっくりと自然環境になじむように進化してきたからなのです。
  

 ところが、ここ数十年の近代化により、アスファルトやコンクリート等の自然には無い環境に取りかこまれた結果、わたしたち人の身体はその進化について行けず、いつもストレスを抱えた状態になってしまったというのです。

コンクリートなどの人工物も、心とからだへのストレスになっているんだね。

2、自然の癒しの効果 実験の結果

 では、自然の中にいると、人のからだはどのような癒しの効果がえられるのでしょうか?千葉大学の研究では、下のような効果が証明されました。

  1. 心拍数・脈拍数が下がった
    緊張、興奮、ストレス状態にあると数値は高くなる
  2. 血圧が下がった
    食塩の取り過ぎ、肥満、ストレス等で高くなる
  3. 交感神経が下がり、副交感神経が上がった
    交感神経が高い=緊張状態 副交感神経が高い=リラックス状態
  4. 唾液中のコルチゾールが少なくなった
    コルチゾール=ストレスホルモン
  5. 脳の前頭前野の活動が静まった
    前頭前野活動が静まる=リラックスしている
  6. NK細胞が活発になり、細胞の数も増加した
    NK細胞=ウイルスやがん細胞と戦う免疫細胞
  7. おしっこの中のアドレナリンが少なくなった
    アドレナリン=緊張状態にあるときに分泌されるホルモン

    NK細胞やコルチゾールなど詳しい用語の説明はこちら ⇒ クリック

自然はストレスをやわらげて、からだを強くしてくれるんだね!

3、自然はからだを正常な状態にもどしてくれる

 では、もともと血圧や脈拍数が低い人は、もっと下がって、低く過ぎる状態になってしまうのでしょうか?
 じつは自然には、血圧や脈拍数が高い人は下がり、低すぎる人は上がるような、その人にとってちょうど良い数値にもどしてくれる作用があります。
 また、コルチゾールや免疫(グロブリンAなど)、交感神経活動も、上げたり下げたりして、ちょうど良い数値にもどしてくれるのです。
 このように、自然環境には心身のバランスを健康的な状態にもどしてくれる「生理的調整効果」という、素晴らしい治癒力が備わっているのです。

自然は心とからだを健康な状態に近づけてくれるんだね!


参考図書
宮崎良史氏 著書『自然セラピーの化学』
森林浴の第一人者である千葉大学の宮崎良史教授により、自然の効果を化学的に実験・検証し執筆された著書。自然の治癒力に驚きと感謝を感じる一冊です。

参考図書
宮崎良史氏 著書『森林浴』
同じく千葉大学の宮崎良史教授により執筆された本。「自然セラピーの化学」よりも優しい文体で書かれ、美しい自然の写真も多く、読みやすい一冊となっています。