運動が心を前向きにする理由 ~脳をととのえる~

  
  目 次

  1. 運動は3つのレベルで脳の働きをたすけている
  2. 運動はストレスをコントロールしてくれる
  3. 運動は心を前向きにする
  4. 健康は力づよく生きていくための力となる

もともと、わたしたち人間の祖先たちは、食料を見つけるために、多くの時間を体を動かすことについやしてきました。
「ここに食料があるぞ」「ここに危険があるぞ」という学習は、体を動かすことで身につくよう進化してきたので、脳にしてみれば、体が動かないのであれば、学習する必要はまったくないのです。
そうです、わたしたちは体を動かすこと脳も動かしていると言えるのです。

1、運動は3つのレベルで脳の働きをたすけている

  1. 気持ちがよくなり、頭がすっきりし、注意力が高まり、やる気が出てくる
    セロトニン*・ドーパミン*・ノルアドレナリン*・エンドルフィン*などの作用
  2. 新しく学んだことが身につくように、脳をうまく働かせるための物質をふやす
    物質=BDNF*、IGF-1*、VEGF*、FGF-2*など
  3. 海馬*という脳の部位から、新しいニューロン(脳細胞)を成長させる
    前頭前野*のニューロンも成長させるのでないかと言われています

運動は、やる気を出すだけでなく、学習しやすくなったり、脳を大きくする手助けをしてくれるんだね!

用語解説(*の印のついた言葉)
神経伝達物質
セロトニン…気分、不安、衝動、学習、自尊心に必要。脳の暴走なども抑える。
ドーパミン…運動、注意、認知、やる気、快楽にとって重要。
ノルアドレナリン…覚醒、警戒、注意、気分に影響する。
エンドルフィン…痛みの信号をブロックして、身体的な苦痛を乗り越えられるようにする。快楽、満足、至福感などに影響する。


タンパク質やホルモン
BDNF…脳細胞の養分となり成長は働きをささえ、増やす。
IGF-1…細胞の成長を刺激し、細胞の自然に衰えるのを防ぐ。
VEGF…血管やほかの組織の形成を助ける。脳内でもつくられ、記憶の定着にかかわっている。
FGF-2…脳細胞を増やすために必要な幹細胞の分化を促し、学習と記憶も支え促進する。


脳の部位
海馬…学習と記憶をつなぐ。脳全体からの情報をこれまでの記憶と照らし合わせ、前頭前野に送り込む。ストレスによる劣化や破壊が進みやすい。
前頭前野…脳の司令塔として、計画、配列、習熟、選択、理解その他の機能をつかさどり、意思決定に重量な役目を受け持っている。

2、運動はストレスをコントロールしてくれる

じつは、運動は心とからだに軽いストレスをあたえます。
ストレスは心と体に悪いと言われていますが、軽いストレスは体に良いものなのです。
ストレスで脳細胞は傷つきますが、傷ついたり治したりをくりかえすことによって、心と体はより強くなり難しい問題を乗り越えたり決断する力が高まったり、うまく周りの環境になじむことができるようになるのです。


ただし、長く続くストレスは、恐怖にかかわる脳の部分を目いっぱい働かせるために、他の部分に栄養がながれて行くのをストップしてしまい、物覚えが悪くなったり脳の海馬*という部位がちいさくなったりストレスホルモンが脳と体を傷つけたりしてしまうのです。
このように、脳に送られる栄養がかたよってしまった場合も、運動は栄養を効率よくとどける手助けになるというのです。

運動という軽いストレスから くりかえし回復することで、心と体は強くなっていくんだね!

3、運動は心を前向きにする

運動はドーパミン*やセロトニン*を促進するあと押しをします。
ドーパミンは気持ちを前向きにし、幸せな気持ちにさせ、やる気と集中力を取りまとめる役割があります。
習慣的に運動をするようになると、脳のドーパミンをたくわえる量が増えるだけでなく、ドーパミンの作用を受取る力もつよくなり、何かを成し遂げたときの満足感も強くなるのです。

セロトニンは自尊心(あるがままの自分を受けいれ大切にする態度)を保ったり、気分や衝動をととのえたり、コルチゾール(ストレスホルモン)を中和しストレスを抑える働きをしています。
また、学習に必要な前頭前野*と海馬*のつながりもととのえています。

運動すると、前向きでしあわせな気持ちになるドーパミンがでるんだね!
そして、運動を習慣化すると、脳の中でドーパミンやセロトニンがしっかり働いてくれるように変わっていくんだね!

4、健康は力づよく生きていくための力となる

イリノイ大学で行われた実験では、健康な生徒はそうでない生徒に比べ、注意力にかかわりのあるニューロン(脳細胞)が多く働いていて、注意力・短期記憶・処理速度などがすぐれ、よりよい認知テストの結果が出せたというのです

また、間違いをおかしたときの脳も、健康な子どもは、いったん立ち止まり、結果を見直し、失敗を活かして次は間違えないようにする「前頭前野*」がしっかり反応していました。

体を動かす脳が働く 心とからだが健康になる もっと脳がしっかり働く 心が前向きになる

つまり、体を動かすということは、人生を前向きにしっかり考えながら力づよく生きる為の、足がかりになると言えるのではないでしょうか。

体を動かすことで、脳が良くはたらくようになって、健康的な心と体になるようととのえてくれるんだね!
そして健康になると、考える力や前向きなきもちが生まれてくるんだね!


参考図書
ジョンJ.レイティ他著書『脳を鍛えるには運動しかない! ~最新科学でわかった脳細胞の増やし方~』
ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授、医学博士のジョンJ.レイティ氏により、科学的な論文や実例を基に執筆された著書。読むと今すぐ運動したくなること請け合いです。