用語の説明

1.交感神経・副交感神経 闘争ー逃走反応など

  • 自律神経
    自律神経とは交感神経*と副交感神経*の2つの神経を言います。2つの神経は全く逆の働きを行いますが、どちらもバランスよく使われることで、体や心の健康を保つことができます。
  • 交感神経
    交換神経活動は、興奮したり、活動したり、ストレスを感じたり、緊張したりする時に働きますが、「闘争ー逃走反応*」によって過剰に高まってしまいます。
  • 闘争ー逃走反応(ファイト・オア・フライト)
    「闘争ー逃走反応」とは「戦うか、逃げるか(ファイト・オア・フライト)」という極限状態から身を守るための反応を言います。
    人は何らかの危険を感じた場合、身を守るために、アドレナリン* やコルチゾール* によって体をフル稼働させ、脳に警告のスイッチを入れサバイバルモードに入り、極度の緊張状態となるのです。
  • 副交感神経活動
    副交感神経は「休息と消化」に貢献し、寝ている時リラックスしている時に高まります。しかし、あまりに長い間ストレスにさらされると、副交感神経は疲れてしまい、うまく働かなくなってしまいます。
  • 自然と神経系
    自然環境が、神経系をととのえ、交感神経による活気と副交感神経によるリラックスの、バランスを保ってくれるのです。

2.心拍・脈拍・血圧

  • 心拍・脈拍
    心拍数や脈拍の数は不整脈でなければ同じであり、心拍数は心臓が拍動する回数、脈拍は末梢血管における脈動の数を指します。年齢や性別によって異なりますが、基準値は1分間に60~100回くらいとなります。
    運動緊張興奮ストレス状態にあると数値は高くなり、高い状態が続くと、健康に悪影響があります。
  • 血圧
    血圧とは、心臓から送り出された血液が血管を押す力のことで、心臓がギュッと縮んで血液を送り出した時の圧力を『収縮期血圧(上の血圧)』、心臓が広がって血液をためこむ時の圧力を『拡張期血圧(下の血圧)』といい、正常値は「135/85mmHg未満」となります。
    血圧が高くなる要因は、食塩の取り過ぎ、肥満ストレス等で、血圧が低すぎる要因は、自律神経の働きが悪いことにあり、だるさ、めまい、眠気などの症状が現れてしまいます。
  • 自然と心拍・脈拍・血圧
    自然環境を歩くことで、高すぎる人は下がり、低すぎる人は上がるという「正常な値に身体を近づける 生理的調整効果 」が確認されています。

3.コルチゾール

  • コルチゾール
    コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンで、活動的に動いたり、炎症を抑制してくれる作用があります。またストレスを受けると分泌が増えるので別名「ストレスホルモン」とも呼ばれています。

    ストレス等によって、コルチゾール値の高い状態が長くつづくと、免疫力が低下し風邪やインフルエンザにかかりやすくなり、骨の形成に必要なエストロゲンの働きを阻害し、脳を興奮させ眠れないようになってしまいます。さらに、記憶をつかさどる海馬の萎縮ニューロン(脳の神経細胞)の生成阻害脳の老化無気力無関心など、脳の構造にも影響をあたえてしますのです。

    また、長期間コルチゾールを大量放出しつづけると、副腎が疲弊してコルチゾールがうまく分泌できない状態となってしまいます。

    こうしてコルチゾール値が低すぎる状態に陥るとエネルギーが不足し、手足の震え不安や緊張状態無気力判断力の低下などが起こり、体も脳もうまく働かない状態となるのです。
  • 自然とコルチゾール
    コルチゾールに関しても、自然環境による「正常な値に身体を近づける 生理的調整効果」が確認されています。
    ※コルチゾール値は一日の変動が激しいのですが、それも考慮された実験となっています

4.脳 前頭前野の活動

  • 前頭前野
    前頭前野は思考や想像力を担い、他の脳領域や外部から得た情報を集め、目標を定め計画し推理し判断を下す脳の司令塔のような役割を果たしています。
    イライラしたり、クヨクヨ不安になったり、恐怖を感じた場合でも、前頭前野がしっかり働いていると、感情に振りまわされ難くなります。
  • 自然と前頭前野
    自然環境にいると前頭前野活動は鎮静化し、脳がリラックスした状態になります。また瞑想で鎮静化するとの報告もあります。
  • 自然とADHD
    ADHDの原因として「前頭前野の一部の神経細胞異常により、ドーパミン*がうまく放出できていない」という仮説があります。そして「ADHDの人が自然の中で過ごすとADHDの症状が改善される」という調査もあり、脳の休息が良い影響を与えていると考えられています。
    ADHDの方でなくても、子どもの前頭前野を含む前頭葉は成人になるまで完成しません。このことからも『自然は子どもたちにとって、目には見えない良い影響を与えている』と言えるのではないでしょうか。

5.NK細胞

  • NK細胞
    NK細胞とは「ナチュラルキラー細胞」と言い、がん細胞ウイルス感染細胞などを見つけ攻撃するリンパ球のことで、ストレスによって活動が抑制されてしまいます。人の体では常にがん細胞が発生していますが、NK細胞などの攻撃のおかげで健康が保たれています。 
    ≫『自然の力 ~ストレスを減らし・免疫力を上げる~』でも解説しています

  • リンパ球内の抗がんタンパク質
    リンパ球内の抗がんタンパク質とは、「パーフォリン、グランザイム、グラニューライシン」というNK細胞が放出するタンパク質のことで、このタンパク質がガンを死滅すると言われています。
  • 自然とNK細胞
    森林セラピーでは、NK細胞数細胞内抗がんタンパク質の増加NK活性の上昇が確認され、その効果はセラピー後も、暫く続くことが明らかとなりました。

6.尿中アドレナリン・ノルアドレナリン

  • 尿中アドレナリン
    尿中アドレナリンは、精神的なストレスを測定する指標としてストレスへの評価に使われています。
  • 尿中ノルアドレナリン
    尿中ノルアドレナリンは、身体的なストレスを測定する指標としてストレスへの評価に使われています。
  • アドレナリン
    アドレナリンは、恐怖不安を感じたときに、交感神経から指令をうけて分泌されるホルモンで、目の前の危機を乗り越えるために、心拍数や血圧を高め、筋肉に血液をいきわたらせ、体と脳を臨戦態勢にして戦いの準備をととのえます。※逃走闘争反応*
  • ノルアドレナリン
    ノルアドレナリンも、同じく恐怖不安を感じたときに、交感神経から指令をうけて分泌されるホルモンですが、危機を乗り越える為に、判断力、集中力、注意力を向上させ戦いの準備をととのえます。※逃走闘争反応*

    アドレナリン*はどちらかと言うと「身体機能を向上させる作用」が強く、ノルアドレナリン*は「脳機能を向上させる作用」が強くなります。
  • 自然とアドレナリン・ノルアドレナリン
    森林セラピーは尿中アドレナリンの濃度を低下させ、女性被験者にたいしては尿中ノルアドレナリンも低下し、ストレスの減少が確認されました。

7.免疫グロブリン

  • 免疫グロブリン
    免疫グロブリンA ( IgA )は腸に多く存在し、鼻汁、唾液や消化管などの表面の粘膜中に分泌される、抗体としての働きを持つタンパク質で、ウイルス細菌などの外敵からの侵入を粘膜表面で阻止してくれます。

    免疫グロブリン濃度が低い場合は、身体の防御が不十分となり感染症にかかりやすくなります。
    アレルギーや自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患などの場合、高濃度になると言われています。